ペカチカほいほいのブログ

ギャンブル歴50年、浮き沈み人生で出会った楽しい出来事の数々。

「ホントにあった美味しい話」半導体ビジネス

半導体と一口で言うが・・・500万種類あると言われてる。


扱い始めて・・・・5年でやっと少し解るようになった。
それまで・・・・どんだけバイヤーに騙されたことか・・・・
10億は損したと思う。


今の日本では「中古半導体ビジネス」は成り立たなくなったが、
20年前、日本の中古ICを世界中が欲しがった。



そして・・・その価値・マーケットを知るヤツは成り上がれた。
オッサンは3拍子揃った「成金半導体屋」へ伸し上がった。
①モノと価値を知ってる
②集める手段を持ってる
③売り先を持ってる



半導体は余るようになっている。


なぜか?
半導体メーカーが実装メーカーに納入するとき、
例えば10万個の注文に対して、10万5000個納める。
5000個は不良品対策であり、オマケでもある。


また実装メーカーの「購買担当」は在庫欠品によるライン停止を恐れて
予定より多めに注文する。
万が一(滅多にないが)商品が大ヒットしたのに、
半導体の在庫がなくて作れない・・・
そんな日にゃあクビが飛びかねない。販売機会ロスにつながり、
購買担当は非難ゴウゴウを受ける。



まあ・・得てして作った製品はさほど売れず、
新型へモデルチェンジとなり
それには新しいタイプの半導体が採用され、
その在庫はデッドストックとなる。


だから半導体は余るようになっている。



実装メーカー(パソコン・携帯・家電メーカーなど)は
半年に一度不良在庫を償却処理して帳簿をきれいにする。
帳簿上の在庫を減らすのだ。決算償却である。


特に景気の良いとき、利益が沢山出てるとき、
在庫を捨てても余力のあるとき、大量の半導体が捨てられる。



半導体だけ見れば金銀銅が含まれているから
「有価物」なんだが、なにせパッケージが重い。
段ボール、トレイ、ビニルなどの梱包材は
半導体の正味重量の10倍となる。
段ボール・ビニル・プラスチックの
廃棄物処分費が金銀の価値を上回るからゴミ扱いとなる。



メーカーで包装から出してもらった「バラ」はスクラップで、
包装のまま出てくれば「廃棄物」



3月と9月が大忙し、ゴミ屋さんにも、クズ屋さんにも集まってくる。
日本中のクズ屋さん、ゴミ屋さんからお座敷がかかる。
その時期は量の大小にかかわらず日本中を駆け回っていた。



オッサンを呼び出す会社は「半導体のことを何も知らないとこ」



彼ら・・・こう思ってたと思う。
怪しいオッサンがトラック乗り付けて
「訳わからん部品」「ゴミとして持ってきた商品」を
キャッシュで買い取ってくれる。
神様みたいな存在。



美味しい話は事欠かない。
ある日「1部上場製鉄会社」の子会社から連絡があった。
その「子会社」は鉄スクラップを集めてる会社で
時々ウチで出る「鉄スクラップ」をそこへ売っていた。




「今、大型トラック2台荷物が来たんだが」
「当社じゃ手に負えない、そっち送るから受けてくれ」
「何か電子部品っぽいから銅は取れるはず」
「値段付けれたら付けてくれ、ゴミなら処理費用請求してくれ」


こういう・・・得体のしれないモノにお宝がある。
バクチで鍛えたオッサンの勘ピューターが起動した。


オッサン速攻答えます。
「OK、処理費要らないですよ、ウチで何とかします」


「サンキュー助かるわ、じゃそういうことで・・・」ガチャン



10tトラックが2台到着。


付いたのは「程度抜群・内容抜群・高年式」の半導体満載トラックだ。
携帯とパソコンを作ってるメーカーの償却品。滅多に出ない質と量。


早速・・・
開墾して種類ごとに仕分けして、
数を出して、リストを作って、バイヤーに送った。


こういう時、複数のバイヤーにリストを送るとまずい。
連中は提携して安く買い叩こうと談合してくる。
それで散々痛い目にあってわかったことだ。
まず1社ずつ出方を見る。



1社目・・・・散々見て・・・・全部で400万円と抜かした。
「帰れ! お前は出入り禁止! 二度と俺の前に顔出すな!」


※オッサン心の叫び
中国のインチキ携帯電話メーカーが
喉から手が出るほど欲しがる1世代前(中国なら超最新)の
「QUALCOM」が20万個あるんだぞ。
こいつ俺をナメテてやがる。


そいつ・・・車で帰った・・・と思ったら・・・
5分後Uターンしてきた。


「社長600万円でイイヨ!」


心の叫び
「バッカヤロウ、なにがイイヨだ、死んでしまえ!」追い返す。


2社目を呼びつける
「1600万? 無理、バイバイ!」


3社目
「1800万?、お話にならないからお帰りください!」


オッサンは「ひと月」だんまりを決め込むことにした。


連中から「ジャンジャン」携帯が鳴るが、1か月間電話に出なかった。
まあ・・・なんだかんだ言っても連中はキャッシュ持ってる。
売るならコイツらと決めていたんだわ。


ひと月後・・・電話に出ることした。
連中・・・・「もう売れた?もう売れた?」と聞いてくる。


「おう、今最後の詰めをしてる。もう売り先は決まったから」
「もう電話してくるな!」「そうそう来月送る分はキャンセルだ」
「新しい売り先見つけたから」「もう商売しないから」


連中
「イクラで売るの? イクラ? ウチも欲しいアルヨ」

「おまいらじゃ無理、価値知らないんだもん、ガッカリだわ」
「無理無理無理だから」
連中
「イクラなら売るの」「オシエテ、オシエテ」



あいつら・・どうせ俺が困って泣きつくと思ってたんだろ、
最後は俺から電話かかってきて
「それでいいから持ってって」なんて言うと思ってたんだろ、
どうせ香港連合で談合して1800万以上は出さないと決めてたんだろ。
ザケンなよ、売り先なんてナンボでもあるから。


この半導体一式のオッサンの販売希望価格は3800万だった。
それ以下では売らないと決めていた。
この価格で買ってもバイヤーには充分な儲けが出ると踏んでいた。
末端価格で1億円以下ってことは絶対無い。
こんなオッサンの「優しさ」がわからん連中とはオサラバだ。
半分そんな気分になりかけてもいた。


連中・・・・
別々に呼んだ3社が一緒に事務所へ押しかけてきやがった。
やっぱりツルんでやがる。



おおかたシンセンやら広州やらのエンドユーザーに
すでに「ウチの半導体」を「降ろす約束」取り付けてたんだろう。


オッサンが価格で折れないから買えない、
「降ろし先」からは「早く納めろ」と突っつかれて
もう「値段上げて買う」しかない・・・と押しかけたんだろ。


連中
「社長イクラで決めたの?」「同じ価格で買うアルヨ」



「おまいらバカじゃねえの? 同じ価格で売るわけネエだろ」
「よくも日本一の半導体屋に駆け引きしやがったな」
「最後に教えといてやるわ、売り先は韓国、価格は4300万」
「さっさと帰れ!」


連中ヒソヒソ話を始める。
「社長!ここに5000万アルよ、これで売って下さいアルヨ」


ん?  5000万? 悪くない?  いや上出来!
「そうか・・・そこまで言うんじゃあ・・・」
「今までの付き合いもあるし」「お世話にもなったし・・・」


「しょうがねえなあ・・今韓国のバイヤーに電話してキャンセルするわ」


そんなもんだ・・・この商売って・・・