ペカチカほいほいのブログ

ギャンブル歴50年、浮き沈み人生で出会った楽しい出来事の数々。

「チョンボ転じて福を為す」の巻 後編

大企業のエゴというか、都合と言うか・・・この件は大変だった。


※当時は新幹線始発駅は上野でした。訂正します。
さてさて新幹線に乗り遅れたオッサン、無事仙台に到着です。
先に着いてた取引先G社の社員(今後A君と言う)は
ホームで待っててくれました。



偶然隣り合わせになって「良い話」を頂いた「取締役部長」と
「A君」を名刺交換してもらいます。


「では、明日10時にお待ちしています」
部長さんは帰っていきました。




「悪い、まさか大宮飛ばしとは知らんかった」


A
「でも良かったじゃん、いいご縁が出来た、ナイス大宮飛ばしだわ」


その日のうちにスクラップ屋さん2社を訪問して、
明日訪問する工場近くのビジネスホテルに入った。
仙台と言えば「牛タン」焼き肉屋で前祝いとなった。



翌日10時・・・時間ピッタシに訪問。
相手方・・・・出てくる出てくる8名出席。
相手の期待度を感じる。


色々な種類のスクラップがあると説明を受ける。



それ・・・・全部聞かなくてわかる。
スラリー、スラッジ、ペースト、ロール、コイル、シート、電極、
缶入り、生電池、モジュール・・・・
コバルト、銅、ニッケル、カーボン、アルミ、鉄、ステンレス・・・・



全部当店におまかせください・・・・完璧なシステムをプレゼンする。


それでは後日「見積書」をお出しします。会議終了!!
会議は大成功だった。


なんちゅうか・・・
エサも付けずに「300Kgのクロマグロ釣った気分」かな。



岩手、秋田と順調に仕事をこなして出張も終わった。



さて・・・・・見積書を提出する段階で・・・・
いつもぶつかる壁が出てきた。
「取引口座」である。
ウチはあの「電池メーカー」と口座がない。


当然オッサンは新規開設を要求するが・・・・・
そう簡単に口座は開かれない。
与信問題ではなく、そこんちのポリシーの問題だから難しい。
Aの会社はこのメーカーとは長い取引実績がある。


出張同行したAから妥協案が出る。
「取り合えず俺んとこで金のやり取りして」
「社長とこへバックマージン払いで進めようか?」



「それしか方法ないかなあ・・・」
「でも・・あそこんちと直口座持ちたいんだよなあ」
「しかし初回引き取りまで時間もないし、そっちの口座でやるか!」
妥協しました。



大企業のサラリーマン・・・・
特に部長を目指す課長クラスに多い人種が「勝ち馬に乗る」ヤツ。
そして「手柄横取りするヤツ」だ。



東北出張に同行したA君の上司がこのタイプだった。
昔から知ってるヤツで、オッサンとは死んでも合わないタイプ。
お互い嫌いあってる。


Aが出張報告を出した。そこに「このビジネス成約」の顛末が書かれている。
当然・・・・商道徳上・・・オッサンに優先権がある話だ。



Aの上司の課長は「この話」を大変喜んだ・・・
オッサンの名前が出るまでは・・



オッサンがキッカケの話と聞いて・・・こう言ったとさ。


Aとこの課長
そもそもな、あそこがリチウム電池作ってるのは有名な話だろ、
当然うち(G社)も営業する予定だったわけよ。
本社(東京)の営業部がもう動いて訪問直前だったらしいぜ。
あそこだって「あんなショボイ会社(ウチのこと)」と
取引なんて怖くてやれねえだろ。
いいか!電池処理できる会社なんて
日本で俺らだけなんだから、こっちで全部やるから!
オッサンとこは外せ!!!



Aが抵抗する
しかしあそこ(ウチ)のおかげで話が進んだわけで、本社の同期に聞いたら
「何回も営業かけたけどお払い箱だった」って聞きましたよ。


Aとこの課長
じゃかまし~い! 常務もそう言ってる。
この件は本社が進めることになったからお前は他の事やれ!!



そういうことになり、A君は外されました。



Aの本社の営業部長が仁義を切りにウチに来ました。


「悪いがそういう事になった、なんとか了承してくれ」
「3か月間、コンサル料で100万ずつ払うから」


理解なんてできる訳ないですよね、ね? みなさん!!
イチから10までオッサンが仕上げた仕事です。
しかも100万だって、たった3か月だって。
俺は毎月500万抜く気なのに。



当然オッサンは怒ります。
「ああそうかい、汚いヤリかたしやがって」
もうプンプンです。


すでにメーカーと直接交渉していると聞かされます。


本社の部長に聞きます。
「メーカーと順調に進んでるのか?」
部長
「ハッキリ言うと問題はある。値段が折り合わないのがある」
「全部じゃないがペースト系が合わない」

「わかった、もう帰ってくれ、金輪際バッテリーで協力しないからな」


営業部長は帰っていった。



オッサン・・・速攻・・・G社のライバル企業へTELする。
「オッサンの持ってるノウハウ・原料のすべてを供給するから」
「プラントを作りませんか?」


ライバル企業も「電池リサイクル事業」参入を
検討していた時期だった、提案は「渡りに船」だったようだ。


プロジェクトはすぐ開始された。
プラントは既存有休設備を改良して設置する。
完成まで10か月。オッサンも3日間工場に泊まり込んで建設を進めた。



つぎは営業だ
新幹線で出会った「取締役部長」に電話した。
彼は「喜んで話を聞く」と言ってくれた。


ライバル企業の営業部長を連れて訪問、
G社の弱点をすべて解決できる提案書を提出。


結構な量を確保できる契約を締結した。
口座窓口はライバル企業を使い、バックマージンを貰う。


事業は開始された。


なんてことない・・順調なのは最初だけよ・・・・
G社もライバル社も大企業、連中のやり方は知ってるけど・・・



「おいしいもの」しか食べない。トロとエンガワばかり欲しがって、
ゲテモノ・見た目の悪いのは食わない。好き嫌いが多すぎる。
「炉を壊す」・・・・それが口癖よ。



メーカーに「大企業が食わない」クズが山積みになっていった。
オッサンに電池メーカーの現場からクレームが入る。
「話が違う、溜まってるのをすぐ引き取れ」



オッサンは「プレゼン」のとき、
なんでも「好き嫌い無く」食えるのがウチの強みと断言した手前、
全量引き取ることを決断。


売り物にならない大量の「ゲテモノ」をオッサンの小さな工場に運びこみ、
相当なカネをかけて処理した。結局この事業は大赤字となった。



G社のA君は転職した。オッサンに顔向けできないからと言ったそうだ。



当時電池メーカーが処理に困っていたのが「ペースト」
劇毒物と可燃物を含むこのクズは処理が難しい。
処理温度が高温でダイオキシンを発生させる。
炉のダメージが大きく、ヘタすれば炉が壊れる。
もし・・・それが処理できれば、美味しいクズも安く貰えた。
「良いクズ」と「悪いクズ」を抱き合わせで買う。
これがオッサンのやり方だった。



リサイクル営業で成約を勝ち取るため、
相手が困ってることを解決してやるのが一番近道だ。


あえて火中の栗を拾う。


ただ、拾い過ぎはダメ。欲張ると痛手を負う。
プライド捨てて、憎しみを抑えていれば


今頃・・・フランスでワイン飲んでたかもか・・・・知れない。