ペカチカほいほいのブログ

ギャンブル歴50年、浮き沈み人生で出会った楽しい出来事の数々。

クズ屋の出会った「オモロイ人」たち①

ほんの短い期間「ベンチャー?投資家」だった。


新規事業を始めたい「若者」の夢を手伝いたいと出資してました。


「寿司屋」「トンカツ屋」「ホームページ屋」さんの


新規開業3件手掛けた。いまも彼らは頑張って営業してます。


で・・だ・・・
投資資金の回収は約7割。3割は放棄した。結局赤字だったわ。
もう残りは返さなくていいから頑張れと送り出した。



寿司屋はウデのいい若い子が独立したいと聞いたので出資した。
銀座有名店で10年いた子だったから【おいしい寿司】を作ったけど、
良いネタと確かな仕事は「お値段」も高くなる・・・
名前が知れて、上客ついて、軌道に乗るまで4年かかった。
一番カネかかって、結局回収できず。



トンカツ屋は庶民向けですぐ軌道に乗ったけど、利益が少なく、
回収に時間かかった(もちろん全額回収できず)



ホームページ屋は楽だった。初期投資は少ないし、
知り合いをジャンジャン紹介したから、
いっときは「注文断る」くらい繁盛したが・・・
その後じり貧で・・・結局回収できず。



さて・・・そんなベンチャー投資家のオッサンに
「出資をお願いしたい」と話が舞い込んだ。




こんな話よ・・・


「画期的な電池の開発に成功した」


「試作プラントを作って、電池性能を確認し、最後は大手メーカーに特許を売る」


「プラント製造費用で3億集めてる」


うんうん・・・なるほど・・・いいかも。


当時電池開発は群雄割拠、大手、中小、ベンチャーが
性能の良い電池開発にしのぎを削っていた。



電池大好きのオッサンはメチャ興味あって、すぐ会うことにした。




場所は御徒町の喫茶店、


向こうは「開発者本人」と「開発者の友人」と「話くれた代理人?」の3名


こっちは「オッサン」と「ウチの技術部長」




今でいう「常温核融合」のような・・・ちょっと違うような話が始まる。


ある特殊な触媒を発明した。これに空気(水蒸気)が触れると水素が発生する。
その水素から電気を取り出し、コンデンサーに貯めて適宜放出する。
燃料電池の類だった。


オッサンは技術者ではないから理論はイマイチ不明で黙ってる。


ウチの技術屋は「電池原料の優秀な冶金屋」だったから
理論的には想像がついたみたい。



向こうが言う
「これはいずれ戦闘機のエンジン、ミサイル・ロケットに使われます」
「実は防衛省にはすでに話をしています」
「防衛省が真剣に検討を始めたところです」
「世界の常識がひっくり返ります」


「ただ急がないとマズいんです、防衛省から〇〇重工へ情報が出るかもしれない」
「そのためにも急いで試作品を作って実証試験しないとなりません」




ウチ
「そらそうだろ、燃料要らない、無限に発電出来る」
「世界のエネルギー革命だ」
「メジャー石油がぶっ潰れる」



めっちゃ興味がわきました。夢とロマンにあふれた話です。
ワクワクしてきました。


「実に興味があります、どうですメシ食いながら続きの話しましょう?」



居酒屋へ移動した。
向こうの発明者・・・・褒めちぎったせいなのか、上機嫌で話し出す。


「実は‥‥命を狙われてます」
「某秘密結社が狙ってるようなんです」
「この発明がでると彼らは困ります、当然ですよね、私を消そうとするのは」
「わあはっはっはっ」


段々怪しくなってきた。


ウチの技術屋が言う。
「俺は電気屋じゃないから完全に理解したわけじゃないけど」
「理論的には納得できる」
「問題は理論通りの反応が起きるかだ」


理論通りの結果が実験で出ないことは多々ある。むしろ出ないほうが普通だ。


連中の出資要求額は2億円、1億はめど付いたらしい。


オッサンが言った
近いうちに「技術部長」をそちらの研究室に行かせます。
すでにお持ちの簡易設備を見ながら詰めた話をしましょう。


向こう
「その設備は見せられません、極秘なんです」


オッサン
そりゃそうだろうなあ・・・だけどこのままじゃあ出資はできないし・・・


夢と希望にあふれた話だが、出資するには情報が足りなすぎる。


相当煮詰めないと前へ進めない。


技術部長は「興味はあるがインチキ臭い」と結論付けてる。


オッサンは「もう少し食いつきたい」




酒も進んで夜も更けたので
「それでは一度持ち帰って検討します」
「ただ情報が足りないので。進めるにしても何度か打ち合わせが必要です」


向こうの開発者
「おっしゃることはよくわかります」
「今日は酒も入ってますので、我々も改めて出せる情報を整理して」
「前向きにご検討いただけるよう準備します」


オッサン
この技術屋さんは間違いなく「良い人」だ。誠意を感じる。うんうん。


向こうの同席者
「ということで今日はお開きですね」
「はっきり申し上げて、他にも数社声掛けしてます」
「声掛けした各社、反応が良いものですから」
「この先対応できない場合はご容赦ください」


会計はオッサンが済ませた。タクシーに乗る。


どう思う?技術部長に聞く


「完全に詐欺です」


「なんで解る?」


「開発したという触媒がデタラメです」
「あの触媒は某大学の教授が特許出してます。」
「俺が〇〇社にいた時、教授と一緒に見つけたヤツです」
「あの触媒は水素を発生させますし、電子も出ますが」
「ロケットを飛ばすほどのエネルギーは出ません」
「今のところ・・ですが」
「もしかすると何かを変えて」
「それくらいパワーが出るようにしたかも知れないけど」



オッサン
「出方を待つか」


翌日・・・・代理人から「どうする」と電話が入ります。


「打ち合わせを重ねよう」といっても


明日までに決めないと「某大手商社」と契約する。


オッサン
「じゃあそうしてください」



その後・・・


その話が「画期的な発明」と新聞をにぎわすこと・・に・・・


なるわけでもなく


「発明者不審な死」のニュースもなく


どうなったか不明である。


似たような詐欺事件はあった。


バクテリアに金を回収させるという架空の投資話で男3人が逮捕されました。
逮捕されたのは自称「ベンチャー企業社長」の68歳の男と
その会社の開発担当B65歳、営業担当C 55歳です。


男らは、同社が発見したバクテリアが金を体内に吸収する特性を利用して
携帯電話などから金や白金を簡単に採取できると・・・・



なかなか面白い話なんです。


技術的にあり得ると素人のオッサンが思える話です。


誰かまた・・・そんな話持ち込んでこないかな・・・