ペカチカほいほいのブログ

ギャンブル歴50年、浮き沈み人生で出会った楽しい出来事の数々。

詐欺師と詐欺師

ジャグラーの話ではございません。思い出話です。


10数年前、韓国の世界最大級半導体メーカーから
フラッシュメモリの「ロットアウト品」が流出した。
その数300万個と言われている。


※ロットアウトとは
製造工程の途中で何らかの不具合があり、
疑わしい完成品及び、生産ラインに乗ってる半製品を
すべてを廃棄すること。
どこに不良品が混在しているか特定できないため、
不良が含まれてると推測されるすべての製品・半製品を廃棄にする。


完成品・完成直前品・半完成品・ラインに乗ったばかりの原料レベルの品
これらすべてが廃棄される。半導体は内部に金・パラヂウム・銅を含む。
そのためリサイクル原料としてスクラップ屋が買い取るの常識だ。
産業廃棄物処理業者には流れない。


そのメーカーは韓国の金属スクラップ屋に「1Kg/100円」で払い下げた。


そのスクラップ屋は「それを」どこかに売り飛ばした。どこかに・・・


当時・・・その膨大なフラッシュメモリが流出した情報を
日本・台湾・香港・中国の「中古半導体流通大手」は知らなかった。
そのとき・・・この情報を持ってたのはオッサンだけだったと思う。



オッサンのブログに少し登場させた社長がいる。
彼は「国税局の査察」で彼女との「韓国カジノでラブラブ写真」を撮られ、
あろうことか査察官によって「実の娘」に提示され、嫁さんに激怒され、
結局倒産まで追い込まれたんだが、その社長からこの情報を貰っていた。
この社長は「在日韓国人」で、半導体メーカー重役の親戚だった。
彼が「欲しいなら紹介する」と情報くれたんだが、
こっちがモタモタして流れた話だった。



ある日、群馬の台湾人からオッサンに連絡があった。
「フラッシュメモリが大量にあるから買わないか・・・」


ピンときた、すぐ見に行くことにした。モノが良ければ買う気だった。


ブツは確かにあった。重量にして120Kgほど。
なぜ重量で説明するかというと・・・・
一斗缶にバラで入っているから。
足の繊細なフラッシュメモリのバラである。


当時発売されたばかりの1Gのフラッシュメモリ。
1枚の重さは1g以下、0.7gほどか・・・もっと軽いかもしれない。
0.7gとしても、1Kgで1500枚、それが120Kgだと18万枚。


当時大口ユーザー向け新品価格が1枚7ドル、
目の前にあるのは・・・ざっと120万ドル相当だ(正規品ならだが)


ブツにマーキングは無い、マーキングする前にラインから外されたからだ。


まあ・・・それは取引に支障はない。
なぜなら・・・この業界で食ってる連中は
「自前のレーザーマーカー」を持っている。
東芝でもインテルでもSONYとでも自由自在に書き込める。
日本から中古メモリを持ち出して、
OKIのマークをTOSHIBAに変えるなんて朝飯前だ。



問題は他にある。
フラッシュとして「生きてるか」だ!


モールド済だから内部配線はできてるだろう。
バラ入りだから、当然足(PIN)のチギレ、脱落、モールド割れもある。
最悪・・・ダミーモールドの可能性も残る・・・



歩留まりは2割あれば良いと見た。


台湾人の説明はこうだった
「良品率90%以上のロットアウト品だ」
「約20万個だ、価格は1個1ドル」「必要なら100万個用意できる」


当時1ドル85円くらいか・・・
1700万だとお? 


※こいつは昔から詐欺師だった。評判の悪い男で取引相手も少ない。
だからオッサンに声かけたと思う。
オッサンは彼の親父さんが生きてた頃世話になったことや、
なぜか情報持ってる男だから適当に付き合っていた。


オッサンが答える
「寝言言ってんじゃねえよ、歩立ち2割あれば上等だろ」
「大陸持ってって、パートにPIN直させて、検査して、マーキングだぜ」
「俺が買うなら、その120Kg全部で100万ってとこだね」



さすがに提示価格の1/17を回答され怒っちまった。


「もういいわ、別の話しよう」・・・
そのブツの話はそれで終わった。


それから2週間ほどして親友のT社長から連絡があった。


「フラッシュメモリ50万個の出物があった」「今買い付けに秋葉に向かってる」


オッサン
「Tさん、それ待った! その話は怪しい、誰からの話?」


T社長
「岐阜の部品屋だわ、初めて会う奴だ」


オッサン
「その岐阜の部品屋が70過ぎのジイサンだったら完全に詐欺よ、気を付けて」


T社長
「どうすればいいかな?」
一緒に行くのが(後に国税局に捕まった)Y社、S社長らしい。


オッサン
「まずサンプル10枚貰おう、それを検査しよう、間違いなければ買ったらいい」
「あの岐阜のジイサンはメモリの知識無い、多分群馬の指示で動いてるはず」
※岐阜のジイサンは群馬ヤロウの手下。よく群馬で見かけた。


T社長
「なるほど、解った、そうする」


夜遅く・・・・T社長と、S社長がウチに来た。5000万持って向かってたらしい


結局サンプル3枚で5万払ったらしい。
オッサンは2人が来るまで簡単なテストマシンを作った。


検査する、メモリはうんともすんとも動かない。


最後はみんなで笑っちまった。お~危ない・危ないってね・・・


この話で引っかかったのが4社あるらしい。


引っ掛かった連中の気持ちはよくわかる。


フラッシュメモリなんて最低オーダー10万個の世界だ。
「10万個買う客の価格」が1個700円だ。


100個欲しい、200個欲しい客が中国に何万社もある。
中古で足が曲がっていても「1個1500円」で売れる時代だった。


50万個のうち10万個「生きてれば」1億5000万、
5000万で買えれば1億円の利益が出る。


だから詐欺師が跋扈してた。


もうあんな時代は来ない。


もう一度あんな時代が来たら・・・今度は貯金する・・・